2016.12.01更新

 今年からストレスチェック制度が始まり、高ストレス者の医師面談を行うようになりました。そこでよく出会うのは、やはり長時間残業をしている労働者。

少し前、電通で長時間労働を強いられていた方が自殺したというやりきれないニュースがありましたが、まさに氷山の一角です。それでも、きちんと時間外労働時間が管理されているならまだいい方で、多くの企業では、いまだに時間外労働を正確に記録できていないのが実態です。

 

なぜきちんと打刻しないのか労働者に尋ねてみると、職場風土の問題として残業申請をしにくい状況があったり、正確に打刻しにくい雰囲気があったりするとのことです。申請しようとしても上司から嫌な顔をされる、残業が長いとただ「残業時間を減らせ」と言われ業務量は減らないから困る、先輩たちもつけてないからとか・・・。労働者側にも「自分が効率的に出来てないだけだから残業申請するのは申し訳ない」「みなし労働なのでどうせ残業代がつかないから申請しない」などの心理が働くことが要因になっているようです。

 

長時間労働が常態化すると、結局、時間内に終わらせるという健全な緊張感も弛緩してしまうようです。

帰宅が遅くなり、睡眠時間が削られ、脳の機能が低下し、効率が落ちます。そして、効率が落ちることにより、時間がかかり、ますます長時間残業から抜けられなくなる悪循環も生じます。深夜に及ぶ残業をしている間、脳の機能は酔っぱらっているときと同じ程度まで落ちるのだそうです。そんな状況で良い仕事ができるのかはなはだ疑問です。

 

それでも長時間労働が無くならないのは、「長時間働くことは美徳」という日本的な考え方がまだまだ支配的だからだという気がしてなりません。

特に、経営層や管理監督者の中にはきわめてタフな働き方をしてきた方々が多く、自身が若かった時にモーレツに働いていたことを基準にして考える人が多いのです。残念ながら、上の立場の方たちが、長時間労働を心のどこかで是としているうちは、組織の雰囲気は変わりません。

「人事がうるさいから残業するな」というような指導になりがちで、時間内に効率的に働く環境を作ろうと本気で取り組むことがないようです。(次回につづく)

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

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