2018.11.19更新

 たばこに含まれる依存性物質はニコチンです。

 ニコチンは脳内のアセチルコリン受容体に結合し以下の作用をもたらします。

覚醒作用:眠気をとる
鎮静作用:イライラを鎮める
食欲抑制作用
たばこがやめにくいのは、ニコチンが脳内から失われるときに、一時的に脳内のバランスが崩れ不快感が生じるからです。アルコールを飲酒した事のある人は10%以下しか依存を形成しないのに、たばこに関しては95%の人が依存を形成します。 ニコチンの不快な禁断症状が、依存性を形成し易い理由だと考えられます。ニコチンの禁断症状は数時間以内に始まり、切望感、不安、集中力困難、焦燥感、うつ、食欲の増加、頻脈、不眠、などがあります。80%以上の喫煙者は止めたいと思っていますが、実際に成功するのは約5%に過ぎません。「私はたばこ依存なんかじゃない」と思う方はネットで検索すればニコチン依存症のスクリーニングテストを見つけられますのでやってみて下さい。

禁煙するとどうなるのでしょうか?

たばこを吸わないと約2時間後に脳内のニコチン濃度は半分に減り、喫煙欲求が生じます。我慢していると、次第に辛くなってきますが、2日目がピークで、その後は楽になってきます。普通3~5日目になると、一山越えた感じが分かるようになります。しかし、衝動的にたばこが欲しくなる欲求が波状に襲ってきます。ここで、大切なのは、喫煙欲求はせいぜい2、3分しか続かないという点です。その「瞬間」をやり過ごせば、しばらくは大丈夫という訳です。しかも波の間隔は徐々に長くなって、回数は減っていくのです。

 

 やめ方のコツはあるのでしょうか?

頭がボーっとしたり、眠気を伴って、吸いたいときは、体を動かして冷たい水を飲みましょう。

イライラして、吸いたいときは、深呼吸をしたり、ゆっくり食事をとりましょう。

 

 禁煙の時期によって失敗のパターンが違います。

1~2週間目:気の弛み、つまり「一本ぐらいならいいか」という失敗が多いようです。飲酒を控えて充分な睡眠をとるよう心がけましょう。
~3ヶ月目:行動記憶、つまりクセになっている習慣による失敗です。目覚めの一服、食後の一服など習慣的に吸っていた場合、同様の状況でつい今までの行動を繰り返してしまうということです。これを防ぐには、生活習慣をバッサリと変えてみるのが手です。目が覚めたら、たばこを吸う代わりに体操するとかシャワーを浴びる。食後はたばこの代わりにコーヒーを飲むとかです。たばこという以前の習慣をただ抜くだけでなく、それに代わる、これまでになかった新しい習慣をつけるがコツです。

 

3ヶ月やめられたらしめたものです。しかし油断しないでください。3年やめられたらその後はまず大丈夫でしょう。

 

 

 保険で受けられる禁煙治療もあります。

一定の条件はありますが、保険診療として禁煙治療を受けられる場合があります。主としてチャンピックスという禁煙補助薬を使用します。チャンピックスは脳内のニコチンが作用する受容体を適度にブロックすることで、タバコ由来のニコチンの働きを遮断し、その一方で、ニコチン渇望症状を和らげる働きをします。何も使わない禁煙の成功率を約10%とすると、ニコチンガムで約20%、チャンピックスでは約30%くらいまでに上がります。チャンピックスの副作用は主に吐き気で、このために使用できない人がたまにいらっしゃいます。

 

 

 

 

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

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