2018.11.27更新

うつ病や双極性障害で休職された場合、復職が順調にいくかを大きく左右することは「認知機能」の回復です。

「認知機能」とは、脳の情報処理のうち、単純な感覚情報の処理などよりも、比較的高度な能力を言います。例えば、文章を読んで内容を理解すること、ある目的のための一連の行動を順序だてること、相手の話の中から重要なポイントを抽出すること、作業に必要な集中力を維持すること、などです。うつ病や双極性障害ではこの「認知機能」が障害されるため、普段通りに仕事ができなくなります。これは、やる気が落ちてしまうと言った「意欲」の問題とはまた別の問題として存在します。

自宅療養中は、気分などが安定して日常生活が問題なくこなせるようになると、不調から回復できたと思いがちですが、実はまだ、認知機能の回復が遅れていることがあります。

「認知機能」が十分に回復していないのに復職してしまうと、思うように業務がこなせないために、焦りや不安が生じて大きなストレスとなります。最悪、そこから病状が再燃して再休職となってしまうこともあります。

このように大切な「認知機能」ですが、今のところ、「認知機能」を直接十分に改善させる薬物は存在しません。運動や頭の体操のような認知機能訓練が有効なようですが、まだ一般臨床の中では積極的な治療法としては確立していません。

私の経験では、早歩きなどの有酸素運動や、運動しながら暗算などの頭の体操を行う運動認知訓練が有効そうな印象があります。他には、何かを楽しめるようになることや「笑うこと」も意外に効果がありそうな感じです。

認知機能の回復度合いを確かめるには、活字を普通のスピードで読んでちゃんと頭に入るか、その作業をどのくらいの時間続けられるか、人との会話で相手の話をきちんと理解できるか、などを見ていくとだいたい分かります。

気分が安定してきて、そろそろ復職が視野に入ってきたら、業務に関連した勉強をしてみたり、資格の勉強をしてみると良いでしょう。外出して人と積極的に会ってみることも準備になりますね。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

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