2013.06.25更新

うつ病患者さんの最終診察
今日、うつ病で通院されていた患者さんが無事に治療を終わられました。
ちょうど、2年前に初診となった方です。プライバシー保護のため詳細はかけませんが、職場で本来の業務とは少し違った役割を与えられて、そこでちょっとした失敗があったのを機に発病されました。
まず抗うつ薬を十分に使い、職場を一旦離れて休養していただきました。
日常生活レベルの行動に問題がなくなった頃、定期的な運動も指導しました。3か月の休職で寛解まではもっていけなかったのですが、職場側の事情で一旦復帰のタイミングを逃すと次回のチャンスが半年先になってしまうとのことで、本人や職場産業医とも相談して復職を決めました。
寛解状態ではなく、時間的に特別なリワークプログラムもできなかったので、再燃予防に何か工夫が必要と思われました。うつ病になる方は、組織の中で与えられた役割を果たせないと、職場との一体感が失われて発病する人がいます。この患者さんも、そのような状況で発病していました。
ただし、本来の業務には元々は自信を持っておられた方なので、「復帰後のあなたの役割は本来の業務のみ。それをしっかり果たすことが組織の中での期待に応えること」と強調しました。職場にも、この方針を産業医から伝えていただきました。復帰後に、自分が失敗した仕事について「後任者に迷惑をかけたのではないか」とか考えては多少症状が動揺するときがありましたが、そのたびに「今のあなたの役割は?」と再確認して、それを果たすことだけを考えるように指導し、危機を乗り越えました。
今日無事に治療を卒業され、「とてもうれしいです」と喜んでいらっしゃいました。最後にも「あなたの役割は?」と確認したところ、「本来の業務です。生き生きとやっております」と笑っていました。
ちなみに、当院でのうつ病休職者は90%以上の確率で職場復帰を果たされ、再休職に至る人はほとんどいません。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2013.06.20更新

パニック障害を根治させるために 精神科 東京
パニック障害が一旦良くなって治療を終結したものの、何年かして再発したということで当院を受診される方がいらっしゃいます。なぜ再発したのか?理由は多くの場合、「微妙な回避行動を克服できていなかった」ことです。
パニック障害になると、発作が起こった時に逃げられない状況を恐れて、乗り物を避けたり、途中下車したりするようになりますが、それを回避行動といいます。
「微妙な」というのは、あからさまに乗り物を避けるとかではなく、もっと分かりにくいものという意味を強調したいための表現です。
例えば・・・乗り物には乗るけど路線は固定とか、乗る時間帯を選んでいるとか、車内で奥の方には行かないとか、遅延情報は必ず確認して混みそうな時は急行に乗らないとか、地下の狭い店には行かないとか、狭い店の奥の方には座らないとか、要するに、回避行動ではあるがそのためにそんなに生活が障害されない程度のものです。パニック発作自体がなければ、微妙な回避だけでは患者さんもそれほど困らないために、問題である自覚がないのです。
ところが、この微妙な回避が残っているとパニック障害が再発しやすくなります。この場合は、行動療法を仕切りなおして、微妙な回避行動を洗い出し、それらを止めていくことが大事になります。
・パニック障害の治療を受けてある程度良くなった。
・もう大丈夫と思って、治療を終了した。
・しばらくして、再発。
・一生治らないのでは?と不安になる。
・しかし、良く調べると微妙な回避行動が残存していた。
・回避行動を洗い出して、行動療法で徹底的に克服すればOK。

パニック障害なら心療内科、東京都中央区の日本橋メンタルクリニック

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2013.06.19更新

かくれ躁うつ 東京都中央区 心療内科

双極性障害(躁うつ病)の概念が拡大され、今まではうつ病や不安障害と診断されていた方の中にも双極性障害の患者さんが多いことが分かってきました。潜在的には双極性障害なのに、表面的には別の病気に見えてしまうため、きちんと診断されていないケースを俗に「かくれ躁うつ」と呼んだりします。
診断はどんな病気でも、軽症ほど正しい診断が難しいものです。また、診断基準そのものにも問題があって、例えば、過去に(軽)躁状態がない人は、原理的に双極性障害と診断できませんが、双極性障害の患者さんの約6割は躁状態ではなくうつ状態が先行して発症することも分かっています。つまり、今はうつ状態でも後に躁状態を初めて呈するまでは、いかに疑わしくても診断基準に従う限り双極性障害とは診断できないということになってしまうのです。
臨床医がこの問題に注目するのは、単に細かい診断分類の違いにこだわるからではなく、治療薬の選択が全く違ってくるためです。うつ病や不安障害には現在SSRIを中心とした抗うつ薬が第一選択となりますが、「かくれ躁うつ」の患者さんに抗うつ薬を単独で使用すると、気分変動を激しくしてしまったり、自殺のリスクを上げてしまったりする場合さえあるので注意が必要なのです。
「かくれ躁うつ」ではうつ状態がなかなか治らないために、多剤併用になりやすく、それらの薬が病状をさらに複雑なものにしてしまったり、治らないのは本人のパーソナリティのせいと誤解されてしまったりすることがあります。
当院では、「かくれ躁うつ」をいかに正しく初診時に診断するかということに工夫を重ねてきており、5年前には30%を超えていた初診時見逃し率を3%以下まで改善することを達成しています。
東京都中央区の心療内科 日本橋メンタルクリニック

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2013.06.17更新

先日、東大職場のメンタルヘルス専門家養成講座(TOMH)第一期生の同窓会が行われ、そこで最新の情報をいくつか教えてもらってきました。
紹介された研究等で印象に残ったのは、ストレス対処法として「問題解決」と「気晴らし」の両方がその後の精神的健康を左右するという研究結果でした。
「問題解決」というのは、ストレスを引き起こすような問題に対して、その問題をきちんと整理して、現実的・具体的な解決法を考えて、実際にその解決法をやってみる。そして、うまくいかなければ、問題を捉えなおしたり、解決法を修正したり・・・そのプロセスを繰り返すというものです。
「気晴らし」というのは、いわゆる気分転換と同じと考えてよいでしょう。ストレスを引き起こしている問題そのものを解決するわけではないけれど、疲れた気持ちをほぐすような活動をやるということです。
この「問題解決」と「気晴らし」の両方ができていると、半年後の精神的な健康度が上がるというのが研究の結果で、この結果自体は極めて当然という感じなのですが、どちらかだけだと同様にダメというのが私の印象に残った点です。
「気晴らし」だけでは問題は解決せずストレスがかかり続けるので健康度が上がらないのはもっともで、これは予想の範囲でした。ところが「問題解決」だけをしている場合もダメというのが意外だったのです。
どうしてかというと、きちんと問題解決していればストレスが軽減するので大丈夫だという思い込みが私にはあったのです。しかしながら、やはり私たちはリチャージ(再充電)される必要があるということなのでしょうね。
余暇活動やプライベートの人間関係など、職場外で私たちをリチャージしてくれる資源の大切さが再確認できました。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

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