2018.12.18更新

運動することが身体に良いことは誰でも知っていますが、近年、精神の健康にもとても良いことが実証的に示されています。

適度な運動は、ストレスによる不安反応が過剰になることを抑制してくれるという研究もあります。

不安・抑うつの改善のみならず、うつ病の発症予防にもなることが分かっています。

ストレス対策と言うと、今は認知行動療法が流行りですが、考え方を変えるというような「面倒なこと」をわざわざしなくても、気持ちよく運動することで効果が得られる可能性があるわけです。

私の患者さんでも、診断によらず、運動習慣を作った方たちは気分が安定して、薬の効果もよくなる印象が確かにあります。

問題は、うつ症状が強い時は、運動する気力も出ないので、その場合の治療として使うには工夫がいるということでしょう。

まずは、日々の生活の中で、有酸素運動の習慣を作っておくことがお勧めです。

1回20~30分程度の早歩きを週3回くらいやるだけでも効果があるようです。

行き帰りの通勤時を利用したり、オフィスビルの階段を利用すれば効率よくやれそうですね。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.12.13更新

当院に通院している患者さんにも多忙な方が結構いらっしゃいます。

私は、どんなに忙しくても最低6時間の睡眠をとるようにお伝えしていますが、仕事でどうしても4~5時間しか睡眠時間を確保できないという話をよく聞きます。

睡眠不足が慢性化して、心身に悪影響がもたらされている状態を「睡眠負債」と言います。テレビで紹介されてご存知の方も多いのではないでしょうか。

睡眠負債では、自覚的な眠気の感覚は「慣れ」によって弱くなるものの、脳の処理能力は確実に落ちていることが明らかになっています。ドライブシミュレーターを用いた実験によると、6時間未満の睡眠を2週間続けると、2日間全く寝ていない時と同様の認知機能障害が生じるとのことです。

つまり、仕事のために睡眠を削ると、本人は仕事をちゃんとやっているつもりでも、相当効率が低下して質の悪い仕事になっている可能性が高いということです。

患者さんには酷な言い方になってしまいますが、睡眠を削るくらいならさっさと諦めて、しっかり眠ってからやる方が脳の性能を引き出せるということです。

ちなみに、慢性的な睡眠不足に陥っているかを簡単に調べる方法は、平日と休日の睡眠時間の差を見ることです。休日に2時間以上睡眠時間が長くなるようなら慢性的な睡眠不足の可能性が高いです。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.12.12更新

以前、強迫性障害を「悪魔のように恐ろしい存在」と表現する患者さんがいました。

私がその患者さんに説明したことを紹介します。

 

強迫性障害は「自分自身の問題で人任せでは治らない」ということは理解されているようですが、

それは、「自分の力で悪魔のような強敵に立ち向かわなければいけない」という意味ではありません。そもそも、強迫性障害を悪魔のように恐ろしいと認めてしまっていることが違うのです。

 

強迫性障害には、実は、そんなに強力な力はありません。せいぜい、あなたを騙して罠にはめるくらいのことしかできません。強迫性障害を強力にしているのは「あなたの考え方と行動」なのです。

 

分かりやすい例として、鍵の確認強迫をとりあげます。強迫性障害は擬人化した表現を使うと「鍵をかけたというお前の記憶は本当か?その保障があるのか?万が一、鍵が掛かっていなかったら大変なことになるぞ!」と患者を騙し、確認行為をさせようとします。この時、強迫性障害は「俺を信じて、確認すれば不安が和らぐぞ。でも、確認しなかったら不安は無限に強くなって、おさえられなくなるぞ!!」と巧みに患者に強迫行為を取らせます。これが病気の罠で、そうすることで、患者はますます強迫性障害という病気にはまっていくのです。ここで大切なことは、強迫性障害そのものには、恐ろしいことを起こす力もないし、あなたを不安で一杯にしてパニックに陥れる力も、実は、ないということです。

 

それでは、なぜ、病気を克服することが、そんなに困難なのでしょうか?それは、あなたが「病気の言うことを信じていて」しかも「病気が期待している行為、すなわち強迫行為をとり続けている」からなのです。

 

鍵の確認の例で考えると、「病気の言うとおり、鍵が掛かってないかも知れない」とあなたが考えてしまうことが、あなたを不安にするのであって、病気そのものではないのです。さらに、「病気の言うとおり、ここは確認しておこう」と確認行為をあなたがとることで病気に力を与えているわけです。つまり、強迫性障害が悪魔のように恐ろしく強力な力を持っているように思えるとしたら、それはあなたが与えてしまった力だということです。

 

「自分自身の問題で人任せでは治らない」ということの本当の意味は、自力で恐ろしい敵を克服しろ!ということではなく、「病気の考え・行動」を取るか、「健康な考え・行動」を取るかという、あなた自身の選択にあるのだということなのです。このことをきちんと理解してください。これが治療に非常に重要なポイントで、オーナーシップという概念がピッタリきます。過去に自己治療がうまく行かなかった人はこの点を見逃している場合がほとんどです。

 

「病気・無視・次の行動」という基本フォームを練習するときに、「本当の意味で病気と認識すること」が大切です。つまり、「今は確認しなくても、後で確認すれば・・・」「この課題の強迫行為はしないけど、別のこっちの行為をすれば不安が治まるから・・・」などと病気の言うことと取引するようでは、病気を病気と認識してないことになりますね。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.12.12更新

2008年に発表された久留米大学で行われた研究によると、睡眠時無呼吸症(SAS)患者の27.6%に何らかのメンタル疾患が見られるとのことです。最も多いのは、うつ病で、順に、不安障害、不眠症、双極性障害と続きます。

そうすると、メンタルクリニックにかかっている患者さんの中にはSASを合併している人が少なからず含まれているはずです。

当院でも、SASが疑われる人に対して、検査を受けてもらい診断がついた方が何人かいらっしゃいます。しかし、総数としては決して多くないため、きっと、まだSASの合併を見落としてしまっているケースがあるのではないかと思っています。

メンタル疾患とSASが合併した場合、SASの治療を同時に行った方が、メンタル疾患の治りがよくなることが分かっています。裏を返せば、SASを見逃して、メンタル疾患の治療だけを行った場合は、治りが悪くなることがありうると言うことになりますから、いかにSASを見逃さないかはとても重要な問題です。

私の経験では、短期間に急激に体重が増えた場合、通常それほど眠気が強くなりにくそうな薬で眠気が強く出る場合、などが怪しいです。

簡易チェックリストもネットで検索すると出てくるので、一度はやってみると良いでしょう。

 

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.12.07更新

「自尊心が低くネガティブに考えがちで、他者の些細な言動に対して卑屈になってしまう」というAさん。

私が、Aさんにお伝えしたことを書いてみます。

 

ネガティブに考える、自尊心が低い、などを自分の性格ととらえると、問題=自分であり、自分が悪いから治らないという自己暗示になる。自分が悪いと思っている人は力が発揮できない。治すためにはその人の力を活かすことが必要。

 

ネガティブに考えるのはAさんがネガティブな人間なのではなく、単なる「脳のくせ」です。「ネガティブぐせ」と名付けましょう。また「ネガティブぐせ」は悪いことばかりではなく、「物事の本質を見極める能力」という良い側面も持っています。

 

我々の目標は、この「ネガティブぐせ」をうまく扱って、過剰に悪い面が出ないようにコントロールしていくことです。

 

自尊心が低いというのも、同様に、Aさんの性格と考えるのではなく、今までの経験から身に着けた、自分自身についての見方や考え方の習慣にすぎません。「心の姿勢」と言ってもいいでしょう。「心の姿勢」は習慣的な考え方や行動から作られるので、自尊心のしっかりした人間になるというよりも、自尊心のしっかりした人はこういう考え方をして、こういう行動をとるだろうということ想定し、それを実践していけばよい訳です。

自尊心のしっかりした人は、他人から何か言われたときにどんな反応をしそうですか?自尊心のしっかりした人は、毎日の生活をどのように過ごすでしょうか?

 

そうは言っても、突然、予想外の他人の言動に左右されて卑屈になることはありえますね。

その際、対処法があったほうが良いでしょう。

まずは「卑屈になっている」自分を責めない。自分の感情をそのまま認める。できれば、批判的ではない友人に気持ちを聞いてもらう。
いつもの生活をていねいに行う。生活リズムや食事、運動など、できるだけ自分がこうありたいと思う生活をきちんとやることです。
他人の言動でショックを受けると卑屈になることは人間ならば割と良くある心理的な反応であり、一般的には3日くらいするとショックから回復してくるものだという知識を持つ。

 
その上で・・・

他人の言動に卑屈になってムカつくのは「今の自分を自分で認めていない」からかもしれません。自分で自分を認めるために、Aさんには何が足りないのでしょうか?容姿やお金、きれいな彼女がいるといった「外的な条件」などではなく、自分は何を大事にして生きていきたいかという観点で考えてみてください。価値観というやつですね。これは仕事をどうしていくかということとも関係があるような気がします。つまり、Aさんは、今後、何を大事にして生きていきたいか?ということです。そうすると、どういうふうに働いていくことがAさんにとって良いことでしょうか?ということにもつながりそうです。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

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