2019.01.24更新

今回は私から見て「いい医者」と思える条件を挙げてみます。決して自分がすべての条件を満たせているわけではないくせに、あえて書いてみます。

1.病気についての知識

専門家とはいえ重箱の隅的なことまで熟知していることはありえませんが、患者さんからの当然の質問には答えられるくらいの知識があることは必要でしょう。その一方で、自分に分からないことは知ったかぶりをせずに率直に分からないと言える謙虚さも必要です。さらに、病気に関する知見は日々新しいことが出てきますので、勉強してアップトゥーデイトする姿勢も大事です。


2.傾聴の態度

特に初診の際など、患者さんの話をきちんと聴くこと。時間的な制約はもちろんあるのですが、患者さんが本当に言いたいことや気持ちを想定しながら聴くことが大事でしょう。患者さんの考えが間違っている時もいきなり否定的に返さず、どうしてそう考えるのか話し合える余裕があるべきです。患者さんの話が分からないときは、表面的にわかったふりをしないことも大事です。さらに、必要なときには患者さんを叱ることができる人間力も備わっているのが良いでしょう(ここは私の一番弱い部分ですが・・・)。


3.薬物の使用が適正

薬の効果や副作用について十分な知識があり、患者さんに説明できることは当然です。

うつ病で抗うつ薬を使用する場合は、ためらうことなく十分な量・期間投与することができなければなりません。患者さんの飲み心地を重視しますが、初期だけの副作用で慣れれば消えていくようなものと考えられるものなら患者さんを励まして乗り越えてもらうことも医者の仕事です。薬の中には副作用チェックの採血が定期的に必要なものや血中濃度の管理が必要なものがありますが、そういう検査をきちんとすることです。以前は安全と思われ頻用されていたベンゾジアゼピン抗不安薬は、依存や気分不安定化、長期的には認知症のリスクがあることなどが分かってきており、安易に処方しないことや、漫然と投与を続けないことが必要です。すでに常容量依存になっているケースで断薬できるように持って行けるテクニックも必要です。


4.薬以外の治療的観点がある

薬以外にも、例えば不安障害には曝露療法が有効であり、基本的な行動療法は行える技量はあるべきです。自分でやらなくても心理士に代行してもらう指示が出せることが必要です。患者さんを取り巻く種々の環境要因に配慮することも大事です。患者さんのパーソナリティ、価値観にも意識を注ぐことができなければなりません。


5.患者さんが治ることが喜び

これがないと医者の仕事はできません。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2019.01.22更新

⑤大事な人には本当の気持ちをきちんと言葉で伝える
依存性薬物を動物に投与すると、その動物は依存性物質を自ら摂取するようになります。当たり前の実験ですが、この先が重要です。その動物を孤独な環境に置いておくと、依存行動は変化しませんが、仲間の中に戻してあげると、だんだん依存性物質を摂らなくなることが分かってきました。孤独がいけないのですね。人間の場合は、見るからに孤独ではなくても、孤独な状況というのはよく見られます。それは、本音を抑えて人と関わっているという状態のことです。特に双極性障害の患者さんは、物事をズバズバ言うような印象とは裏腹に、デリケートな本音はなかなか言えない人が多いです。他者の気持ちを推測する力に長けているために、相手に配慮しすぎてしまうこともあるでしょう。また、強気に見えて繊細で、傷つくことを過度に恐れているせいかもしれません。

でも、本音はちゃんと言葉で伝えなければ分かってもらえません。ここぞという時は勇気が必要です。そうやって、本音をちゃんと言葉で言えるようになると、人と関わることが随分楽になるはずです。孤独から抜けられるということです。

 

⑥深く見抜くこと
病気や過食がどんなものか頭の先っぽで理解するのだけではなく、本当に見抜いてしまえば、自分を責める必要はないし、誰かのせいにする必要もないし、自分が何をすればいいのかに集中できるでしょう。例え、失敗することがあっても、それは不可能なことだからという意味ではなく、単に練習が必要だという意味だと深く見抜いてしまえば、焦りや不安に支配されずに済むでしょう。

例えば、あなたに素敵な恋人がいるとしましょう。あなたはその人のことが好きで好きで、ちょっとでも会えないとさみしくて仕方がない。そんな時に、何かの事情で、その人と別れなければならなくなったとしたら、簡単に気持ちを変えられますか?答えはNOですね。諦めようと頑張るほど、好きな気持ちは強くなるかもしれません。しかし、その恋人が実際にはとんでもない人物で、あなたをだましていただけということが本当に分かってしまった場合はどうでしょうか?要するにあなたが、相手の本質(自分にとって本当に大事な人ではない)を深く見抜いてしまったら?その時はあれほど好きだった気持ちを変えることがそんなに難しくはなくなっているはずです。もちろん、楽しかった時間を失った寂しさや、だまされた怒りは感じるでしょうが。

病気についても同じことです。単に知るだけではなく、深く深く見抜こうとしてください。どんなふうに極端な思考と感情があなたをだまそうとするのか、どんなに今まで病気に行動を合わせてきてしまったか・・・などを、私の言葉を鵜呑みにするのではなく自分で確かめてみてください。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2019.01.18更新

③健康的にやせることを目指す
適度にやせて綺麗でいたいという気持ちは女性なら当然です。そのために最も有効なことは基礎代謝量を上げることです。基礎代謝量を上げれば、リバウンドしにくい体になります。基礎代謝量は筋肉を増やすことで上げられます。有酸素運動はここでも有効なわけです。基礎代謝量は基礎体温の変化で確かめることができます。基礎体温を1℃上げることを目標にしましょう。

 

④ありのままの自分を認める
人からどう見えるのかを気にしているうちは自分を本当には認められず、いつも心のどこかでビクビクしていなければなりません。そこに心の安定はないでしょう。ストレスを感じやすい状態になってしまいますね。あなたの病気や外見を理由に、あなたから離れる人は、あなたにとって本当に大切な相手ではないはずです。つらい病気に真剣に向き合い、治るための前向きな努力をしいること、今はそれだけでも十分です。そんなご自分を認めてあげてください。もしも、もっと自分を認めたければ、①自分は他者に与えられる存在であることを意識する②他者に感謝の気持ちを持つ、ことがコツです。与えることとは、自分の仕事を誠実にこなす、気持ちよく挨拶をする、笑顔で柔らかい態度で人と接する、ちょっとした親切をこころがける、などで十分です。感謝は、「これは何のありがとうだろう?」と考える習慣を作ればOKです。例えば、毎日乗る電車が時間通りに動いていたら、その背景に運行を支えて頑張っている人たちがいることに「ありがとう」ですし、雨が降ったら植物や作物を育ててくれていることに「ありがとう」です。そんなことはきれいごとで心からそうは思えない、と感じても今は気にしなくて大丈夫です。ウソっぽくても、心の中で「ありがとう」とつぶやいてみるだけでよいのです。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2019.01.18更新

②過食について理解する

過食はなぜ止めにくいのか?それは依存性薬物と同じ脳内メカニズムがあるからです。それは「すぐに効果が得られる行動や物質は脳内に『止められない回路』を形成する」ということです。過食の効果はもやもやした気持ちを和らげることです。これは過食を始めるとすぐに効果が現れます。過食をして3時間後にやっと気分が和らぐなら誰も過食が習慣化することはないでしょう。こうした効果はアルコールで5~10分、たばこではなんと7秒です。効果発現が早いものほど「止められない回路」を形成する力が強いですが、60分以内に効果があるものは習慣性が生じやすいと言われています。

いったん「止められない回路」が形成されると、回路が刺激されたときに目的(過食や依存性物質)にむかう強力な欲求が生じます。これを自力でコントロールするのは非常に困難。ただし、これはいったん回路のスイッチが入ったら途中で止めるのは至難の業という意味であり、回路のスイッチを入りにくくする工夫は可能です。つまり、過食行動がそもそも始まらないように環境を調整することが大事になります。過食しやすい状況、空間、時間、などにさらされるだけで回路のスイッチが入り、強い過食欲求が始まってしまうことがあります。例えば、余計な食べ物がいつでも手を伸ばせば手に入り、自由に食べられる状況では過食を止めることは難しいのです。自分が過食しやすい状況を整理してそれを避けることが必要です。実際、多くの人は誰かと楽しく食べるときは過食しないで済みます。

 

吐くという行為も過食を止めにくくします。吐くことも「止められない回路」を形成します。効果は体重増加がキャンセルされるように感じるということです。そしてこれは嘔吐すればすぐに生じる効果だからです。ただし、実際には体重増加は長い目で見ればキャンセルされないどころか、かえって体重は増えてしまいます。それは、吐くことで過食への心のハードルが下がってしまうこともありますし、インスリンの過剰分泌に続く異常な空腹感が次の過食スイッチを入れてしまうということから必然的に起こります。ですから、過食を止めたければ、まず、嘔吐を止めなければなりません。過食後に嘔吐をしにくい環境、例えば人ごみとか、に行くことが一番有効です。また、嘔吐の衝動は時間が経つと低下しますので、吐くまでの時間を引き延ばすことが有効です。5分から始めて徐々に伸ばすのです。待っている間は、嘔吐がしにくい他の行動をやります。どういう行動が使えそうかを前もってリストアップしておくといいでしょう。

 

食べる内容や食べ方にも気をつけましょう。炭水化物などの糖質はインスリンの過剰分泌を引き起こし、次の過食を誘発しやすくするだけではなく、太りやすくなる原因となります。インスリンには食べたカロリーを脂肪にして蓄える働きがあるからです。これを防ぐためには、タンパク質と脂質をきちんと取ることです。脂質はカロリーが高いと思われがちですが、満足感を得やすく、かえってトータルのカロリーは抑えやすくなります。またインスリンの過剰分泌を引き起こさないので、太りやすい体にはならないのです。食べ方としては、最も大事なのは、どんなに過食しても規則的な3食の食事は決して抜かないことです。双極性障害の治療として正しいことをしない限り、結局過食も治せません。「そんなに食べたら太ってしまう」という考えや不安は極端な思考と感情そのものです。振り回されないようにしましょう。過食をしてしまうときも、きちんとした食事として扱いましょう。きちんと盛り付けたりセッティングして、BGMを流したり、食事として摂りましょう。どんなに、途中から早食いになってしまうとしても、ぎりぎりまでゆっくりよく噛んで味わうように練習しましょう。そうすることで、トータルの摂取カロリーを抑えやすくなります。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2019.01.17更新

当院では双極性障害Ⅱ型の患者さんが多いのですが、過食症状を合併している方が一定の割合で存在します。

そのような場合にどんなふうに対処するのが良いかをまとめてみます。

 ①まずは双極性障害を治す
双極性障害は気分が上下するだけではなく、考えや感情が極端に走りやすくなる病気です。

そのため、衝動性が高くなります。

衝動性とは目先の利益を優先してしまうあまり、長期的な損失をこうむる行動を選択するということです。

うつ的な気分になったり、ストレスでもやもやした気分になったりすると、「この気持ちを早く何とかしないと、耐えられなくなる」とか「この気持ちのままでは何もできなくなる」などと考えやすいし、とても不安になったりします。すると、手っ取り早く不愉快な気分を解消しようとして飲酒や過食に頼ることになります。このとき、理性的には飲酒や過食は結局のところ自分のためにはマイナスだと分かっているのですが、衝動性が高い状態では目先楽になるという誘惑に応じてしまうわけです。この状態では過食を治すのはほぼ不可能です。

ですから、まずは双極性障害を良くして、うつ的な気分に陥らないようにし、衝動性をコントロールすることが大事です。それだけで、過食が治まる人もたくさんいます。

極端な思考や感情に襲われたときに、病気の症状であることにいち早く気付くようにする。
極端な思考や感情は「現実を反映していない」ということをいち早く思い出すようにする。
極端な思考や感情は症状であり、今はコントロールできないことを認める。そうすることで、コントロールできない自分を責めるような不毛なことをしない。
その一方で、常に行動は自分で選択する余地が残されていることを思い出す。極端な思考や感情に合わせた行動をとるか、自分にとって本当に価値ある行動をとるかは自分で選べる。ただし、失敗しても諦めず練習を続けることは必要。理屈を教えてもらっても練習しなければ楽器やスポーツは上手くならないのと同じ。逆に言えば、すぐにできなくても練習すればできるようになるということ。
そんなに時間をかけている余裕はない!という心の声があれば、それこそまさに極端な思考や感情という症状である。症状に振り回されないように気を付けて。
双極性障害の治療に必要な生活・行動を練習し続けよう。定期的な服薬、規則正しい生活リズム、禁酒、有酸素運動の習慣、適度な活動性を維持する、など。基本ができているかチエック。できていないところがあれば、完璧にできなくてよいので、少しでも目標に近づけられないか考えましょう。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

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