強迫性障害

  • 何度も同じことを確認してしまう
  • 何度も手を洗ったり、普通の人が汚いと思わないようなものも汚いと思い触れない
  • こんなことをしている自分が恥ずかしいと思い情けなくなるが、止められない

強迫性障害とは・・・

誰でも、家を出るときに鍵を閉めたかな?と不安になって、確認のため途中で引き返したという経験がありますよね。まあ、大抵はちゃんと鍵は掛かっていて「なあんだ、心配して損した」となって終わりです。これが普通の人。しかし、強迫性障害患者の場合は違います。確認したことに自信がもてなくなって、何回も確認を繰り返します。ひどいときは何十回と・・・。こうなると、出かけることも容易でなくなるし、何より確認作業で患者も疲弊してしまいます。

このとき、「鍵が掛かってないかもしれない」という考えを強迫観念と言い、何度も確認する行為を強迫行為と言います。強迫とは脅すという意味の脅迫ではなく、「強く迫ってくる」という意味です。患者は強迫観念によって起こされる不安を何とかしようとして強迫行為をするのですが、それで不安は治まらずさらに確認したくなって強迫行為がエスカレートするのです。

強迫には実にさまざまなものがあります。「体が汚れてしまったのでは」という不潔恐怖(強迫観念)から一日に何度も着替えたり、手を洗ったり、入浴に時間がかかったりする洗浄強迫(強迫行為)が見られたり、「何か罰当たりな(間違った)考えをしてしまったのではないか」という不安(強迫観念)から「頭の中で記憶を何度も確認する」という、実際の行動を伴わない確認行為(強迫行為)も見られます。

患者も落ち着いているときは、「何度も確認するのは意味がない」と分かっていますが、実際に強迫観念が強くなっているときは、「それでも、万が一鍵が掛かっていなかったら」と考えて、強迫観念に抵抗することが難しいのです。それで、「わかっちゃいるけど止められない」となる訳です。

強迫性障害の治療は、薬物療法と行動療法が主です

薬物療法としては、セロトニンという神経伝達物質を調節する薬が使われます。抗うつ薬として昔から使われていたクロミプラミンと、比較的新しい薬であるSSRIで、フルボキサミンやパロキセチンといった薬が有効です。

強迫性障害では、うつ病よりも多量の薬を必要とすることがあります。クロミプラミンの効果は強いですが、古いタイプの抗うつ薬に共通して見られる口渇・便秘・立ちくらみなどの副作用が強く出てしまうことがあり、十分量まで増やしにくいことがあります。SSRIはのみ始めの吐き気、眠気などの副作用がありますが、比較的のみやすい薬です。どの薬物にも即効性はなく、十分量を十分な期間服用して効果を判定する必要があります。

行動療法の中心は暴露反応妨害法といい、強迫観念が惹起されるような刺激に暴露して、しかも、強迫行為を行わないようにするというものです。要するに、不潔恐怖なら汚いと思うものに触れてもらい(暴露)、しかも手洗いをしない(反応妨害)よう工夫をするのです。「わかっちゃいるけど止められない」のに「止められる」ようにするわけですから、患者さんは大変です。

治療者との信頼関係や患者さん自身のヤル気が必要ですし、いろいろな工夫をするところに専門性があります。まず、患者さんにご自分の病気についてよく知ってもらうこと、なぜ暴露反応妨害が必要なのかを理解してもらうこと、ターゲットとなる症状を明確にすること、反応妨害のための様々な工夫をすることが大切です。薬物療法と行動療法をうまく組み合わせると治療効果がもっとも上がるようです。

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