2018.10.19更新

 最近、仕事で残業が多いが、今まで病気らしい病気はしたことがないし、体力には自信があったAさん。ところが、1ヶ月前に、朝通勤電車の中で、突然、動悸・息苦しさ・めまいに襲われてしまいました。何が起こったのかもわからず、「何かとんでもない病気になってしまったのでは?」と思っているうちに冷汗も出て、立っていられなくなりました。運良く駅に着いたので、ホームのベンチで休んでいると30分ぐらいで落ち着いて来ました。その後、空いている車両に乗って、なんとか出勤。仕事をしているうちに調子は回復して、その日の帰りは特に何事もなく帰宅しました。1週間ほどは何もなく経過しましたが、再び電車の中で同様の発作が出現し、次第に繰り返すようになって来ました。かかりつけの内科を受診して血液検査や心電図をとってもらいましたが異常なし。内科医からは「気にしすぎですよ」と言われ、安定剤を処方してもらいました。薬は確かに何回かは効果がありましたが、しばらくすると再び発作が繰り返されるように。そのため、電車に乗るときに「また、苦しくなるのでは」と不安になり、無理して空いている時間に出勤するようになりました。

 その後、Aさんはインターネットでパニック障害という病気のことを知って、近くのメンタルクリニックを受診しました。診断は予想通りパニック障害。ただ、今ひとつどんな病気なのか医師からの説明がありません。とにかく薬を飲むように言われ、SSRIというセロトニン神経系を安定させるという薬と発作が起こりそうなときに飲む安定剤をもらいました。薬は確かに効果があって、ひどい発作は再発していません。しかし、電車に乗るときの不安感は持続し、どうしても混んでいる電車は避けてしまいます。以前好きだった映画も、「映画館でもし発作が起こったら・・・」と考えると行く気になれない日々です。この頃は、受診しても、「発作がないなら、薬が効いているんですよ。続けてください」と言われるだけで、薬だけもらいに行っている感じです。「症状を単に薬で抑えているだけで、やめられなくなるのでは?これが治療なのだろうか?」と悩みつつ、出口が見えない感じなのです。

 日本橋メンタルクリニックへは、時々このAさんのような方が、他のメンタルクリニックから「流れて」きます。前の医師の診断が何であれ、先入観にとらわれず問診をさせていただき、新しく診断しなおすことにしていますが、パニック障害の診断が間違っていることはほとんどありません。出されている薬の内容はSSRIと抗不安薬の組み合わせで、これも間違っていることはあまりありません。しかし、患者さんに「前の先生からどんな病気と説明されましたか?」と尋ねると、多くの方は「医者は余り説明してくれなかった」とおっしゃいます。そこで、「では、治療はどうすればいいと言っていましたか?」と訊くと、「薬を飲んで、無理をするなと・・・」程度の答えがほとんどです。

 当院では、このAさんのような患者様に、パニック障害の心理学的な治療(認知行動療法)も薬物療法と併用しています。まず、パニック発作とは「不安という警報装置の誤報」であることや、その不安を危険なものとして「誤って学習した」結果、「種々の回避行動」が生じていること、そしてそれらの回避行動が病気を維持・悪化させる「悪循環が生じていること」などを説明します。次に、不安コントロール技法としてのリラクゼーションを指導し、最終的には、回避行動をやめて不安な状況に暴露させる行動療法を施行します。ちなみに、治療は保険の範囲で行っています。

 

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.10.19更新

強迫性障害は、繰り返し心に浮かんでくる強迫観念によって引き起こされる不安感を軽減するための強迫行為を止められなくなる病気です。良くあるのが、強迫的確認と強迫的洗浄です。確認は鍵や電気・水道・ガス・火の元などが気になって、何度も確かめてしまうもの。洗浄は汚れているのではないかという感覚が取れずに何度も洗ってしまうものです。

強迫性障害の治療はSSRIを主体とした薬物療法と曝露反応妨害法という行動療法です。

行動療法は、強迫観念が起こるような状況を避けずに、引き起こされる不安感に直面して、強迫行為を行わないということをやります。

しかし、なかなか止められない強迫行為をやらないということは当然いろいろな工夫をしなければ成功しません。

工夫1.病気について徹底的に理解する

強迫性障害は自分の記憶や判断そのものがおかしくなってしまう訳ではなく、記憶や判断に自信が持てなくなっている状態です。強迫行為をするということは、自分を信じなかったということになり、ますます強迫観念がエスカレートしてしまいます。そういう病気の構造をまずは良く知ることが大事です。

 

工夫2.強迫行為をしないことを「我慢する」という捉え方ではなく「病気の脅しに応じない」と捉える

 人間は一般的に我慢が嫌いです。長続きしません。一方で、人間は強制されることが嫌いです。脅されて強制されるなんて好きな人はいません。そもそも、強迫行為というのは「病気に脅かされて渋々とやっているもの」であり、本来やりたいことではないはずです。それがいつの間にか「自分の意志でやっている」かのように錯覚させられてしまうのです。

 

工夫3.最初の課題は「何とかできそうなもの」をうまく選ぶ

 最初に成功体験を持つことは何かを身につける上で非常に重要です。

 

工夫4.スッキリ感や安心感を「直接」求めない

強迫観念によって引き起こされた不安やもやもやした気持ちを「即効的に」解消しようという誘惑から強迫行為をさせられてしまうという病気の構造をしっかり理解しましょう。スッキリ感を求めることは病気の罠です。スッキリしないまま次の行動に移りましょう。時間がたてばもやもやした気持ちや不安は必ず落ち着いてきます。

 

工夫5.病気と取引しない

 例えば、確認強迫で「後でまとめて確認するから」と自分を「納得させて」、目先の強迫的確認を逃れるというテクニック(?)を使う人がいます。病気をよく理解できていれば、これがなぜいけないか分かりますね。これは形を変えた強迫行為ということです。しかも、本人がその自覚を持てず、頑張って強迫行為をしていないと思ってしまうのでたちが悪いのです。一生懸命、行動療法を頑張っているのに成果が感じられないという人はこの点を見直してみると新たな展開があるかもしれません。

 

工夫6.病気はしつこいので、病気よりもしつこくなる

 強迫性障害という病気は本当にしつこい病気だと思います。乗り越えたと思っても、繰り返し病気の罠に落ちてしまうようなところがあります。いっそ、病気はとてもしつこいのだと割り切ってしまいましょう。そうすれば、行動療法で何度か失敗しても「病気はしつこいのだ。簡単には治せなくて当然だ」と、そんなに気にしないで「しつこく」やり直せるのではないでしょうか。私の患者さんで良くなった人たちは皆「しつこく」行動療法をやり続けた方ばかりです。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.10.17更新

「森田療法」という治療法があります。それが教えてくれることのポイントをこんな風にまとめることができます。これらをいつも心がけていると、余計な苦しみが減るように思います。認知療法や論理療法ともつながりを感じさせてくれますね。

 ・3つの出来ないこと
①自分の感情を完全にコントロールすること
②現実を思い通りにすること
③他の人の気持ちを思い通りにすること

・3つの出来ること
①自分の限界を知ること
②不快な感情を受け入れること
③目の前の現実の中でやるべきことをすること

 

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.10.10更新

もしもあなたの病気が、痛み、しびれ、熱感、冷汗、めまい、などの自覚症状(主観的感覚)が症状の主体で、検査で確認できる他覚所見がないか、あっても自覚症状を説明できるほどのものではないと医師に言われたら、その病気についての捉え方を変える必要があるかも知れません。

 現在の医学-身体医学-は、主観的感覚がメインの疾患に関しては限界があるのです。あなたが、それらの異常で苦しい症状の「身体的」原因を解明し根本的治療を受けたいと望むのは、患者さんの気持ちとしては当然ですが、非現実的で結局は成功しません。近い将来、このような疾患の完全な治療が確立されるという見込みもありません。

 では、医学はあなたに何も提供できないのでしょうか?

答えはNOです。実は、あなたの病気にも、ちゃんと治療法があって、改善している人たちもたくさんいるのです。上述したことと矛盾するようですが混乱しないでください。

 あなたの病気は身体表現性障害といいます。

原因は不明ですが、脳内のセロトニン・ノルアドレナリン神経系の機能障害と関連しているらしいことは分かっています。不調を感じている部分の障害がメインではなく、それを感じる中枢神経の機能障害と考えた方が近いのです。体の出す信号に敏感と言い換えてもいいでしょう。ただし、「気のせい」「精神的なもの」というあいまいなものではありません。れっきとした病気で、外来患者の20%を占めるという統計があります。あなたが考えてきた病気とはちがうかもしれませんが・・・。治療は、あなたの身体、心理、行動、環境のすべてを考慮した専門的治療が必要です。残念ながら、症状を完全に取りさることは不可能です。しかし、症状が維持されるメカニズムとそれを打ち崩す方法は分かってきています。症状を消すのではなく、生活に支障がないレベルまで抑えることを目標とすれば充分に回復の見込みはあるのです。

 まず大きな問題は、あなたがそういう「一見、見栄えのしない」治療を受け入れられるかということです。患者さんの中には、「自分の病気が治らないのは、医者が正しく理解してないせいだ。検査で何か見落としがあるに違いない。きっとどこかに正しく診断してくれる医者がいて、ちゃんと治してくれるはずだ。」という考えが変えられず、不幸な転帰を辿る方もおられます。そういう方たちは、無益な検査や処置を繰り返し、医療に不信感を持ちながらも依存せざるを得ず、医療者側からも「やっかいな患者」扱いにされます。初めは共感してくれていた人々も次第にそれらの憂鬱な患者さんたちから遠ざかり、患者さんは孤独になります。残念ですが、ここまで行くと、回復は非常に困難になってしまいます。われわれは、あなたがそうならないうちに「本当の治療」を始められることを望みます。

 それでは「本当の治療」はどんなものなのでしょうか?

この治療では、患者さんは受動的に治療を与えてもらうのではなく主体的にいろいろなことをやらねばなりません。まず、原因の詮索をやめることが要求されます。次に、あなたが自分の症状をどのように考えて、それによってどんな気持ちや行動が引き起こされているかを理解しなければなりません。これは、専門的な記録法をあなたに実行してもらうことで可能になります。この過程で、ストレスがあなたの症状に影響を与えていることも明らかになるのが普通です。このことは病気の原因がストレスだと決めつけることとは全然違うので注意してください。同時に、症状中心だった生活を立て直していくことが本質的に必要です。症状が残っていても、辛くても、やるべきことを実行することが要求されます。ここが、この治療の最大の難関かもしれません。でも、悲観的になる必要はありません。無理のない方法で徐々に始めれば成功の可能性は高くなります。具体的なやり方は診察時に医師と相談して決められます。このように、治療を進めれば、あなたの症状は完全にはなくならないとしても、改善するのが普通です。そのとき、病気中心だったあなたの生活もいきいきと充実したものになっているはずです。

 薬物は効果がないのでしょうか?

上述したように、脳内のセロトニン・ノルアドレナリン神経系の機能障害と関連していることが示唆されており、ある種の抗うつ薬を使用すると治療全体を進める上で助けとなることがあります。

 治療はどこで受けられるのでしょうか?

どの科の医師でも、経験と技術のある先生なら問題ありませんが、一般的には認知行動療法に精通している精神科医・心理士がベストでしょう。まず、今かかっている医師に相談してみるといいでしょう。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

2018.10.03更新

自分を縛る思い込み

 

・苦しい時は、自分の思い込みで自分自身を苦しめてないか点検する。

・「~でなければならない」「~しなければならない」という考えに支配されていないか?

・思い込みを修正するには、まず、自分の思い込みを書き出して、明確にしてみること。

 

例えば、

・「いつも人に勝ってなければならない」「いつも人の役に立たねばならない」などの思い込みがあると・・・

 

→いまは周りの人より出来ないことがあるし、貢献できてない。

→自分はダメだ・・・。

 

そうやって、自分の首を絞めてしまう訳です。

 

これを、健全な思いに修正するとどうか?

 

健全な思いは、「~でなければならない」ではなく「~したい」という形です。

・「いつも誠実に努力して成長したい」「できるだけ他者に貢献したい」。

 

→新しい仕事を覚えることに誠実に取り組める。

→今の自分と周囲を不必要に比べたりしない。

→今後、仕事を覚えて周りに貢献したいという意欲を維持できる。

投稿者: 日本橋メンタルクリニック

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